■オフィシャルワークリスト:壁面防音事例01■

■防音工事検討前の現状分析と対策

 マンションの戸境壁(リビングなど)から隣のテレビの音や話し声が筒抜け状態であった。
 設計図では戸境壁のコンクリート厚は180ミリと標準的な仕様であるが、コンクリート躯体と室内内装仕上げボードとの隙間が 約30ミリある二重(フカシ)構造になっていた。GL工法とは明記されておらず、図面の精度が非常に低く、記載内容に不備が 多いため、現場の壁面を叩いて確認した。

 感触はGL団子がグリッド状に張り付けられ、その上から石膏ボードが1枚接着されているだけの仕上げと推察された。まさに 太鼓現象による大幅な遮音低下が起きる状況と考えられた。

 このため、GL団子を撤去の上、下地を作り直し防音構造を新たに構築することを提案した。
■既存石膏ボードを剥がす作業

 既存内装を撤去したところ、想定どおりGL団子と石膏ボードによる二重壁構造(GL工法)であった。

 このため、当方の提案と事前打合せの通りすべて内装を撤去することとした。
■GL団子を剥がす作業

 GL団子をすべて剥がして撤去する。

 新たな下地を組むため丁寧に剥がす。
■GL団子を剥がす作業

 GL団子をすべて剥がしてコンクリート壁面を平坦にする。

 剥がし残しがないように徹底して作業を行う。この作業を丁寧にやらないと下地が平坦に仕上がらないだけでなく、 防音に配慮したコンクリートと絶縁された下地を組めない。
■壁面下地の準備

 コンクリート壁面に組み上げる下地材の絶縁処理を行う。

 壁面の梁下、上下及び左右両端部には胴縁に絶縁緩衝材を全面張り付けたものを使用する。
■壁面下地の取り付け

 壁面下部端部に絶縁処理した木下地を固定する。※隣接の既存壁面の隙間には吸音材を充填してから下地を取り付ける。

 絶縁緩衝材は壁面からの固体伝播音の伝播を最小限に抑え、壁面及び床面からの 振動が下地を介して壁面ボードに伝わらないように抑える役目を果たす。
■壁面下地の取り付け

 絶縁処理した木下地を壁面の上下左右の端部に固定した後、全面に木下地の胴縁を組んでいく。
 その際、下地がコンクリート壁面に接触しないように離して組む。万一、壁面への衝撃や振動で接触するのを防ぐため、 下地の背面の数箇所に絶縁緩衝材を接着しておく。
■吸音材のはめ込み

 全面に木下地の胴縁を組んだ後、ロックウールを下地にはめ込んでいく。

   この吸音材は、壁面から漏れる音を吸収すると共に、壁面ボード内の空間において音が共振するのを防ぐ。
■吸音材のはめ込み

 吸音材は隙間無く、下地にはめ込んでいく。

 四隅の下地と周囲の既存壁面の隙間や建具の背面の隙間にも出来る限り吸音材を充填することにより、防音効果を高める。
■遮音・防振シートの張り付け施工

 遮音防振シートは隙間無く、下地に張り付けていく。

 遮音防振シートは吸音材と併用することにより防音効果を高める。吸音材で吸収できない空気伝播音を遮断し、固体伝播音の 滲み出しを抑える。
■遮音・防振シートの張り付け施工

 遮音防振シートのつなぎ目などに遮音テープを目張りする。

 遮音防振シートの隙間を出来る限り無くして防音効果を高める。
■遮音制振ボードの取り付け

 最後に、遮音制振ボードを遮音シートのうえから下地に固定する。

 これによって、吸音・防振・制振・遮音の防音構造が構築される。※各々の防音材料が相乗効果によって、防音性能を高める ことができる。僅か5センチのフカシ空間の中で最大限の防音効果を出せるように配慮したものである。

 遮音ボードのつなぎ目等は、パテで隙間をしごいてクロス仕上の下地として仕上る。※このパテ処理も万全を期すため、丁寧に 隙間を埋める。
■クロス仕上げ・建具の調整

 ボードの上からクロスを張って施工前と同様の姿に仕上る。

 建具は、既存壁面より2センチふかした分、扉を加工して調整した。※建具加工は施工業者の好意で殆ど無料に近い費用で 施工していただいた。
 当方の原因分析と対策が功を奏し十分な効果が出た。コストも提携施工業者の協力で抑えることができ、満足な 防音工事を完了することができ、施主の方にも喜んでいただけた。
依頼者SG様より

 それにしてもGL工法(団子ボンド付けによるボード二重壁)は恐ろしい。隣の壁面や外壁面から音が筒抜けになるのだから。
 しかも、GL団子はモルタルと同様の強度を持っているため、個人の日曜大工レベルでは施工できない。専門業者の施工が 必要となる。
 また、適正な防音設計と、適正な材料選択及び施工業者への指示が必要になる。
 今回の工事で下地の防振・防音処理の重要性を再認識できた。
(サポートページ・プランニング・オフィス いかずち・しんじ)

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